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佐世保市医師会保健センターI(学校保健部)

歴史

昭和47年から一部の児童の心臓、腎臓検診を始め、次第にその対象を広げ、昭和51年から市内の公立全小・中・高校の検診を行ってきた。
昭和54年より一次検診にコンピュータによる心電図自動解析を、昭和60年より心電図・心音図自動解析を導入している。
また、平成4年から小・中学校児童生徒の小児生活習慣病検診を行ってきた。

機構

保健センターの機構は下図の通りである。

 

心臓検診

1)検診対象者

小学校、中学校、高等学校の一年生全員、及び要管理者。

2)実施期間

小学校、中学校、高等学校は原則として、一次検診、二次検診、を4月より6月末日までに行い、精密検査、管理区分決定を出来るだけ夏期休暇前に行う。要管理者検診は、中学校は10月、小学校は11月、高等学校は3月に行う。

3)検診方法(佐世保方式)

 

要管理者は、一年後に要管理者検診を実施し、新しい管理区分を決定する。検診結果の通知は、一次、二次、精密検診の各段階で行うが、そのルートは次の通りである。

専門医 → 保健センター → 教育委員会 → 学校・校医 → 保護者

4)二次検診検査項目

  診察・PCG 安静ECG 負荷ECG レ像 心エコー  
器質的心疾患 (MVPは要負荷)   精密
器質的心疾患(術後)
(PDA術後は1次決定4E)
  精密
川崎病既往
(高校生は1次決定4E)
 
心音異常(※1)        
胸写異常(高校生のみ)      
胸写異常 L4↑(高校生のみ)        
胸写異常 L2↑(高校生のみ)        
胸写異常 心拡大(高校生のみ)          
調律異常(1)      
調律異常(2)
(VT,AF,PSVTなどの加療対象となり得るもの)
          精密
Ⅲ° AVB,Ⅱ° AVB(MobitzⅡ,2:1AVB)           精密
Ⅱ° AVB(Wenckebach),Ⅰ° AVB      
異常Q(V1,V2以外のQ)  
QSV1,V2        
ST-T異常(T波 Ⅱ ⅢaVFを含む)  
WPW症候群  
IRBBB(※2)
(ASDの有無)
         
CLBBB,二枝ブロック           精密
CRBBB        
(RV1 or IRBBB)と(RAD or LAD)とSV6の3つの複合所見(※4)    
V1でqRs,qR,R型        
Low-voltage        
High-voltage  
QT延長 QT短縮(問診を最初に) (※3)     精密
右胸心        
ブルガダ型心電図(問診を最初に)
(二次では胸部誘導1肋間上も記録)(※4)
    精密
R波の増高不良
(ECG採録後聴診)
 
RV1          
J波(問診を最初に)
(広範囲にあるものは特に注意)
     
陰性T波 V14 or V5          
IVCD          

その他:調査表にて、必要と認めるものは、二次検診で診察し再問診を行う。また、二次問診時、二次検診検査項目の変更追加もあり得る。

  • ※1:心音異常は、再聴診のうえPCG、UCGの要否を決める。高校生の場合は再聴診して、異常と判定すればPCG、UCGを行う。小・中学生の校医診察による心雑音聴取の場合も同様とする。小・中学生はUCGに異常があればUCG施行医療機関で安静ECG、直接レ線の検査を行っておく。
  • ※2:小学生及び中学生(以前にUCG検査未施行者)はUCGを行う。(以前にUCGでASDを否定されたものは除外)
  • ※3:QT延長はF-QTc≧0.45。T波終末部の形態などを診て精密の要否を決める。
  • ※4:右脚ブロック様波形とV1、V2のST上昇がある場合、失神発作、動悸等の症状を考慮して必要と認められれば精密検査を行う。

5)要管理者検診検査項目

  診察・PCG 安静ECG 負荷ECG レ像 心エコー  
器質的心疾患(疑い,MVP含む) (MVPは要負荷)   精密
器質的心疾患(術後)   精密
川崎病既往      
心音異常      
胸写異常      
調律異常 ※1      
P異常        
LAD,RAD          
IRBBB      
CRBBB      
CLBBB,二枝ブロック  
WPW症候群      
QRV1      
QSV1,V2        
その他のQ  
Low-voltage        
High-voltage  
RV1        
(RV1 or IRBBB)と(RAD or LAD)とSV6の3つの複合所見      
ST-T異常  
QT延長
(ECG記録後聴診)
    精密
ブルガダ症候群
(胸部誘導1肋間上も記録)
      精密
R波の増高不良
(ECG記録後聴診)
 
J波      
陰性T波 V14 or V5        
IVCD    

その他:診察時、要管理者検診検査項目の変更追加もあり得る。

  • ※1:Ⅱ° AVB(MobitzⅡ型)以上のAVBと期外収縮頻発ないし short run は精密へ

6)要管理の一年後の判定および処置

(1) 一年後の検診で所見の消失したものは管理解除とする。
(2) 前年度、管理区分3-E可で、一年後の検診で前年度と変化の無いものの中で、今後増悪の傾向のないと考えられるものは表3に従い解除、4-E継、あるいは、4-Eとする。

注:一応管理解除とするが3年後の検診に再検査を行うものを4-E継、将来必要があれば追加調査が出来るように所見を残すものを4-Eとする。

管理解除および管理指導区分4-E継 4-E

前年度所見 当年度所見 今後の方針
有所見 ※1 所見消失、負荷にて所見消失 解除
洞頻拍 洞頻拍(他に疾患のない場合) 解除
洞徐拍 洞徐拍(他に疾患のない場合) 解除
胸写異常 同じ胸写異常 解除
川崎病既往歴 変化なし 4-E継
(高校生は4-E)
CRBBB 変化なし 4-E
IRBBB 心エコー異常なし 4-E
QRV1 変化なし 4-E継
Ⅰ° AVB ※2 変化なし 解除
Ⅱ° AVB(W型) 変化なし 4-E継
RV1 RV1 4-E
QSV1,V2 QSV1,V2 4-E
Wide QRS QRS≧0.15秒 3-E
PVC 負荷にて所見消失 4-E
  • ※1:Ⅱ° AVB(M-Ⅱ型)を除く。
  • ※2:Ⅰ° AVB増悪あれば3-E。
  • その他、総合判定時に心検委員会が、解除、4-E継および4-Eと認めたもの。

7)管理

管理指導区分管理区分、指導活区分各症例の重症度と病型を配慮して、心臓病管理指導表により症例ごとに管理指導区分を決める。 管理指導区分は管理区分と指導区分に分けられ、その概要は心臓病管理指導表に付記されているが、下記の通りである。

管理区分 1:  要治療
2: 専門医による要管理
3: 要観察、次年度要再検診
4: 4-Eは所見を記録に残す必要のあるもの(VSD自然閉鎖など)
4-E継は3年後に検査を行うもの(佐世保方式)
指導区分 A: 要在宅・要入院
B: 登校はできるが運動は不可
C: 軽い運動も可
D: 中等度の運動も可
E禁: 運動部活は禁
E可: 強い運動も可(制限の要なし)
なお、4-E継は生活規制はないが、3年後に再検査をするもの

注:学校生活の間に異常を生じた場合は、学校、医療機関より報告を受け、そのつど管理指導区分の決定ないし変更を行う。(稀に心筋炎などの発生がある。)

8)資料

(1) 心臓・腎臓検診実施要項;平成2年4月改定
(2) 学校保健センター10年のあゆみ;昭和57年7月31日発行
(3) 学校保健センター20年のあゆみ;平成5年7月31日発行
(4) 学校保健センター30年のあゆみ;平成16年3月31日発行
(5) 心臓、腎臓、小児生活習慣病検診実施要項;平成28年4月改定
(6) 心臓検診実施要項(補)(保護者のために);平成28年4月改定

腎臓検診

1)検尿対象者

小学校、中学校、高等学校学童・生徒全員

2)実施期間

4月より6月30日までに行い、精密検診は、原則として夏期休暇中に行う。

3)検査方法

ライフスティックス試験紙で行う。

一次検査 蛋白・糖・潜血・白血球を検査する。
二次検査 一次検査の陽性および腎疾患既往のものに同上の検査を行う。
三次検査 二次検査で異常のあったものについて同上の検査および沈渣の検査を行う。
精密検査 医療機関(専門医療機関)で諸検査を行う。

注:一次・二次・三次検査は保健センターが委託した検査機関で行う。

4)検尿の検査処理および結果判定通知

検尿の検査処理および結果判定通知は次のごとく行う。

 

5)総合判定

精密検査の結果、保健センターでは、専門医療機関よりの精密検査の結果をもとに総合判定を行い、管理区分を決定し、教育委員会を通じ各学校および保護者に通知する。

6)管理

総合判定にて決定した管理区分(医療区分、生活区分)を通知し、この区分により管理を行う。尚、病状の推移により、主治医および学校医と連絡をとり管理区分を変更する。

7)資料

(1) 心臓・腎臓検診実施要項;平成2年4月改定
(2) 学校保健センター10年のあゆみ;昭和57年7月31日発行
(3) 学校保健センター20年のあゆみ;平成5年7月31日発行
(5) 学校保健センター30年のあゆみ;平成16年3月31日発行
(4) 心臓、腎臓、小児生活習慣病検診実施要項;平成28年4月改定

小児生活習慣病検診

1)検診対象者

小学校4・5年生および中学校1・2年生で、肥満度30%の児童生徒の中で検診希望者。

2)実施期間

夏期休暇初期に行う。

3)検査項目

  • アンケート調査
  • 血圧測定
  • 血液検査:血色素、ヘマトクリット、赤血球、GOT、GPT、γ-GTP、血清コレステロール、中性脂肪

4)費用

無料

5)資料

(1)『小児生活習慣病』について(保護者用)
(2)心臓、腎臓、小児生活習慣病検診実施要項;平成28年4月改定

成長曲線専門医判定

1)検診対象者

小・中学校全学年で、養護教諭が作成した成長曲線・肥満度曲線から「成長曲線に基づく児童生徒等の健康管理の手引き(日本学校保健会)」に沿って専門医による判定が必要とされた者。

2)実施期間

夏期休暇初期に行う。

3)検診方法

抽出された成長曲線・肥満度曲線を複数の小児科専門医によって、異常なし、要受診、要精査に分類・判定し、教育委員会を通じ各学校および保護者に通知する。

4)管理

要受診は近医受診、要精査は病院小児科受診を勧奨している。

作成2023-04-03

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